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社会環境による保険料への影響の仕組み

2022.04.06

 最近ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮によるICBM発射実験など、目に見える形での危険・危機が後を絶たない。また東日本大震災の余震として、先日も福島県沖を震源とした震度6強の地震が発生した。
 新型コロナウイルスの影響での半導体不足や原油価格高騰など、緊張感を伴った社会環境が続いている。

 さてこのような様々な事案も、実は保険料に影響を与える要素となってくるのだ。
 例えば金利が上がると、保険料(特に生命保険料)は下がる傾向にある。
 なぜならば以前生命保険のメカニズムでも解説したが、生命保険は毎月一定の額面を払い込むのが一般的である。

 その保険料の内訳は、現在の保障に対する危険保険料と将来の保障に対する危険保険料が合わさって払い込む形式となっている。
 従って将来の保障部分については運用する期間が発生する為、安い保険料に設定し運用で増大させることができる。
 よって保険料をを安価に設定できるといったわけである。

 また、災害多発や戦争といった事案によっては(主に損害保険料)、保険料が引き上げられる傾向にある。

 損害保険には「再保険」という制度があり、保険会社1社だけでは補償しきれないリスクを保険料を保険会社同士で分けて引受け、万一の場合でも補償が切れないようにするセーフティー機構がある。
 大規模な災害や紛争などが発生した場合、補償に見合う保険料が得られなければ再保険で引き受けてもらえなくなる。
 従って保険料の引き上げなどにつながってくるのである。

 更に原油価格が高騰した場合あらゆる物価が上昇局面になる。
 野菜などもビニールハウス内で暖房に灯油や電灯などを使って栽培している場合、コストが余計にかかる為野菜にまで影響が出てくる。その影響で加工食品価格などが高騰するなど、広範囲に影響が出る。
 このようなケースの場合、保険料自体は値上げされないが補償する対象物の値段の高騰に引きずられ必要な保険料が値上がりするといったケースもあるのだ。

 一般個人分野では自動車保険の無事故割引など個人的な要素での割り増し引き制度に加え、高齢ドライバーの事故件数増大と1事故当たりの被害金額拡大などが複雑に絡み合うなどして、保険料が事故の有無に関係なく毎年増減するケースも発生している。
 一昔前は保険料などは契約の大小問わず大きな変動は少なかったが、激動する社会環境により大きく影響を受ける世の中になっているのが実情なのだ。

 
 このような環境下財務の健全性などを無視して保険会社を選定した場合、手痛いしっぺ返しを受ける事も有りうる。今を去る事約20年前、アメリカでの同時多発テロが発生した。
 その影響で日本国内のT火災海上が破綻してしまったケースがある。本ケースの場合保険料を安価に設定していたため再保険に出すことが出来ず、損害の全額補償を1社で行わねばならなくなった為、テロが発生した際の保険金支払いにより保険会社が破綻してしまったのである。

 いずれにしても妙に安価な保険料を提示してくる保険会社は、慎重に契約するかどうかを考える必要があるわけだ。

 


 先日、夙川の桜並木を見に行ってきた。
 世界のあちらこちらでもめているのが、嘘のような景色であった。
 個人で何が出来るわけではないが少なくともこの景色を見て、心落ち着かせて相互に思いやりのある環境を作るのに役立てばうれしいものだ。

執筆:Y.O

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