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本コラムを何人が見てくれているかと心配していたが、1の記事を見て「次の話を出してほしい」とオーダーが入ったので、短い間隔だが2を出すこととした。今回は保険料の仕組みなどについて解説していく。
生命保険の保障は、一般的には「死亡」「医療」に分けられる。「終身」であろうが「年金」であろうが死亡保障は付帯されるし、「がん」といっても「医療全体の中のがん」に絞った保障となっているからだ。(余談だが生保は保障、損保は補償と記す。この意味はまた別の機会に。)
そういった意味から見て取ると一般的には生命保険料には次の傾向が見られる。
「女性が男性より長寿=死ににくい」→ 女性の場合死亡保障は安く、医療保障は高い。
どういう事かというと平均寿命や健康寿命などを比較した場合、いずれも女性の方が優位になっている。
これを生命保険に落とし込むと「死ににくい」=「死亡保険料が安い」=「生存中の治療機会が多い」=「医療保険料は高い」といった考え方となるわけである。
脂っこい話だが、要は保険金支払い確率が高い保障は保険料を高く設定する事で、赤字を防ぐ様に設計するのだ。
「払込期間保険料は変わりません」ってどういう事?
よくCMで「保険料は変わりません」と流れたりしているが、そのメカニズムがよくわからないと質問を受ける事がある。大雑把に言って以下の理由で設計されているからだ。
・人は年齢が上がると、死亡(または治療機会)が増える。従って保険料は高くなる。
・毎年高くなる保険料を平準化すべく、払込総保険料を払い込み回数で割って払い込む。
こうすれば払い込んでいる間は保険料が変わることは無い。またピンクの部分は将来の保障部分を先に払っているので、解約すれば返ってくる。解約返戻金の原資にもなっているわけだ。
「金利が安いと保険料が高くなる」→ 運用で利益が出ないので保険料を高く設定する。
少しわかりにくいかもしれないが割引債の発行価格と同じ考え方である。
割引債とは、満期になれば約定された金額が戻ってくる運用商品の一種だ。例えば5年後100万円償還される割引債を90万円で買った場合と95万円で買った場合、前者のほうが後者の2倍の利回りになる事はお判りだと思う。高金利時代では利回りを上げる為発行価格(販売価格)は安くなり、低金利時代では高くする原理である。
生命保険も同様で、運用利回りが期待できる場合保険料は下がり期待できない場合保険料は上がる。これは運用で出た利益を支払保険金、満期保険金などに充当できるからだ。
ここで1で書いた「下取り」という制度に注目してほしい。
既存の契約を解約し新たに加入する契約の頭金として加入する方法だが、10年以上加入していた生命保険は現在より金利が高い時代の契約である。(一般的な生保は加入時の予定利率が保証される。)
この有利な条件の契約を解約して新たに利回り的に低い条件の契約に入りなおす方法を、よくわからずに選択してしまう方がかなり多い。
生命保険の見直しには、慎重になる事がとても大事なのだ。なぜなら生命保険は「マイホーム」「養育費」と並ぶ家計出費の3本柱だからだ。
勧められるがままに保険を下取りに出し、レクサス1台分の保険料が消えた方を筆者は何人も知っている。
何となく胡散臭いと思われる「生命保険」だが、商品自体は悪いものではない。正しく理解して選択すれば、頼もしい制度である。
次の機会では、選択方法などについて解説する予定だ。
執筆:Y.O