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最近「危機管理」やら「リスクマネジメント」なる言葉をやたらと目にするようになった。
凡そその理由は新型コロナウイルスの蔓延による経済活動、医療行為、ひいては日常生活にまで危険が及ぶようになったからであろうと思う。
筆者は損害保険会社に勤務していた事がある為、もともとよく聞いていた或いは使っていた言葉であり聞きなれてもいる。ただ字面は硬く面倒事に関わる話になるので、縁が無い人には敬遠されがちな分野でもあるのも事実だ。
しかし実はそう大袈裟に考えるものでもなく、且つ準備する事で面倒事から上手く逃げる事ができるようにするのが本来の意味である。本テーマは事例に則り解説形式で掲載を続けようと思うが、先ずはとっかかりのお話から始める事にする。
筆者が若いころ口の悪い先輩がおられた。
その先輩からいくつも教わった事はあるが、その中で「アホにアホ、ハゲにハゲって言ったら怒るやろ。アホに大らかやね、ハゲに重みがあるね、とか言い回し変えると怒らせる事はまあないわな。こんなレベルでも面倒事は避けられるねん。これが危機管理の第一歩や。」と指導を受けた事が結構強烈に記憶に残っている。
保険、特に損害保険は損害額を金銭に置き換えて損失を補填する性格の商品である。
言い換えれば他人の揉め事を銭で解決する仕事になるので、言い回し一つで円満解決になる時も裁判沙汰になる時もある。
問題を肥大化・長期化させない為の危機管理として、「言い回し」がその一つの予防策になるわけだ。
我々は普段の生活の中で、意識せずにリスクマネジメントを行っている事が多い。
「雨が降り出しそうだから、傘を持って出よう。」
「風の吹きこみが強いのでカーテンを束ねて、近くにある置物に引っかからないようにしよう」
といったレベルの話も危機回避という点で、立派なリスクマネジメントなのである。
先ずは多少なりとも気が利くかどうかから、その第一歩が始まると言っても良いだろう。
要領が悪い人、自己中心的な考えが強い人、自分の業務範囲を勝手に決め込んでしまうような人などがトラブルメーカーになりがちなのは、総じて危機管理に関する概念が薄く「気が利く」という分野をあまり意識しないからだと言われている。
繰り返しになるが言い換えれば「気を利かせる」事が、リスクマネジメントの基礎になるわけである。
日常生活での気配り、意識して行ってみてはいかがであろうか。
ご指導いただいた先輩とは今もお付き合いをさせて頂いているが、筆者は昔から「お前ほんまにアホやな。」と呼ばれ続けている。
当然のことながらその先輩はハゲになっている。
執筆:Y.O